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相続放棄の必要書類を、続柄別の一覧表で確認する

相続放棄は、家庭裁判所へ申述書と戸籍等を提出して行います。共通して必要な書類はごくわずかですが、続柄によって集める戸籍の範囲が大きく変わり、兄弟姉妹や甥姪が申述する場合は被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になります。ここでは続柄別の必要書類、取得先と手数料、期限に間に合わないときの進め方までを整理します。

公開日: 2026年7月17日 / 更新日: 2026年8月19日

期限・申述先・費用をまず押さえる

書類を集め始める前に、いつまでに、どこへ、いくらで出すのかを確認します。相続放棄の熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。死亡日から自動的に数えるわけではありませんが、実務上は死亡を知った日を起点に考えて動くのが安全です。

申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申述人の住所地ではない点に注意してください。遠方の場合でも郵送で申述できるのが一般的ですが、取り扱いは裁判所へ確認します。

相続放棄の申述の基本事項

項目内容
期限自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
申述先被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
費用申述人1人につき収入印紙800円+連絡用の郵便切手
申述する人相続人本人。未成年者・成年被後見人の場合は法定代理人が代理して申述

連絡用の郵便切手の額と内訳は裁判所ごとに異なります。申述先の家庭裁判所のページで、申述前に必ず確認してください。

続柄を問わず共通して必要な3点

どの続柄で申述する場合でも、次の3点は共通して必要になります。申述書の書式と記載例は裁判所のサイトから入手でき、成人用と未成年者用で書式が分かれています。

被相続人の住民票除票と戸籍の附票は、どちらか一方があれば足りるのが一般的な取り扱いです。最後の住所地が分かる資料という位置づけのため、取りやすいほうを選んでかまいません。

  • 相続放棄申述書(申述人1人につき1通)
  • 被相続人の住民票除票、または戸籍の附票
  • 申述人本人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)

続柄別に必要な戸籍の一覧表

共通の3点に加えて必要になる戸籍は、申述人が被相続人とどういう関係かで変わります。考え方はシンプルで、「自分が相続人であること」に加えて「自分より先順位の相続人がいないこと」を戸籍で示す必要があるため、後順位になるほど集める戸籍が増えます。

配偶者と子は常に相続人になるので、被相続人が亡くなった事実が分かる戸籍だけで足ります。これに対して父母・祖父母は「子がいない、または子が全員亡くなっている」こと、兄弟姉妹は「子も直系尊属もいない」ことまで示す必要があり、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になります。

共通の3点に追加して必要な戸籍(申述人の続柄別)

申述人の続柄追加で必要な戸籍
配偶者被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
子(第一順位)被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
孫・ひ孫(子の代襲相続人)被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本/本来の相続人である子(被代襲者)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
父母・祖父母(第二順位)被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/死亡している子(およびその代襲者)がいる場合は、その人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/申述人より下の代の直系尊属が死亡している場合は、その死亡の記載がある戸籍謄本
兄弟姉妹(第三順位)被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本/死亡している子(およびその代襲者)がいる場合は、その人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本/被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本
甥・姪(兄弟姉妹の代襲相続人)兄弟姉妹の場合に必要な戸籍一式/本来の相続人である兄弟姉妹(被代襲者)の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

裁判所は、審理のために必要な場合は追加の書類提出を求めることがあると案内しています。この表は出発点として使い、最終的な要否は申述先の家庭裁判所の案内に従ってください。

どこで取れて、いくらかかるか

戸籍関係の証明書の手数料は全国共通で、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本と改製原戸籍謄本が1通750円です。一方、戸籍の附票や住民票除票の手数料は自治体の条例で決まるため、金額が異なる場合があります。

兄弟姉妹が申述する場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍は転籍や婚姻、法改正のたびに新しく作られているため、5通から10通程度になることも珍しくありません。費用と日数の両方に余裕を見て動いてください。

書類の取得先と手数料の目安

書類取得先手数料
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)本籍地の市区町村1通450円
除籍全部事項証明書(除籍謄本)本籍地の市区町村1通750円
改製原戸籍謄本本籍地の市区町村1通750円
戸籍の附票の写し本籍地の市区町村1通300円程度(自治体による)
住民票の除票最後の住所地の市区町村1通300円程度(自治体による)
収入印紙郵便局など申述人1人につき800円
連絡用の郵便切手郵便局など申述先の家庭裁判所が指定する額

本籍地が遠方の場合は郵送請求もできます。定額小為替、返信用封筒、本人確認書類の写しが必要になり、往復で2週間前後かかることがあります。期限が近い場合は日数から逆算してください。

戸籍の広域交付が使える人と、使えない人

2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本等を請求できる広域交付制度が始まりました。これを使うと、本籍地が全国に散らばっていても最寄りの窓口でまとめて請求できるため、出生から死亡までの戸籍を集める負担が大きく減ります。

ただし請求できる人が限られており、戸籍の本人、配偶者、直系尊属(父母・祖父母)、直系卑属(子・孫)だけが対象です。ここが相続放棄では分かれ目になります。子や孫が申述するなら被相続人の戸籍を広域交付で取れますが、兄弟姉妹や甥姪は直系ではないため広域交付を使えず、本籍地の市区町村へ従来どおり請求することになります。最も多くの戸籍が必要な人ほど、この制度を使えないという点に注意してください。

  • 使える人: 戸籍の本人、配偶者、父母・祖父母、子・孫
  • 使えない人: 兄弟姉妹、甥姪、代理人(士業を含む)
  • 対象になる書類: 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 対象外の書類: 戸籍抄本、戸籍の附票、身分証明書
  • 請求方法: 本人が窓口へ出向く。郵送・オンラインでは請求できない
  • 持ち物: マイナンバーカード、運転免許証など顔写真付きの本人確認書類

戸籍の附票は広域交付の対象外です。共通書類として戸籍の附票を用意する場合は本籍地への請求が必要になるため、住民票除票のほうが早く手に入ることもあります。

戸籍がそろわないまま期限が近づいたとき

相続放棄でいちばん多い失敗は、書類を完璧にそろえようとして3か月を過ぎてしまうことです。裁判所は、申述前に入手できない戸籍等については、申述後に追加提出して差し支えない場合があると案内しています。書類の完成より期限の遵守を優先してください。

期限までに申述そのものが難しい事情がある場合は、熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てる方法があります。これも3か月の期間内に申し立てる必要があるため、間に合いそうにないと感じた時点で申述先へ連絡するのが現実的です。

判断に迷う段階で相続財産に手をつけないことも重要です。預金の引き出し、遺品の売却、被相続人の債務の支払いなどは、相続を承認したとみなされて相続放棄ができなくなる可能性があります。

提出したあとの流れと、放棄を証明する書類

申述書を提出すると、家庭裁判所から照会書(回答書)が郵送されてくるのが一般的です。相続放棄の意思や、相続財産を処分していないかなどを確認する書面で、記入して返送します。

申述が受理されると相続放棄申述受理通知書が届きます。これは再発行されないため、大切に保管してください。債権者や法務局へ相続放棄を証明する必要がある場面では、別途、相続放棄申述受理証明書を家庭裁判所に申請します。手数料は1通150円で、収入印紙を申請書に貼って納めます。

  • 申述書を提出する
  • 家庭裁判所から照会書(回答書)が届く
  • 記入して返送する
  • 相続放棄申述受理通知書が届く(再発行不可)
  • 必要に応じて相続放棄申述受理証明書を申請する(1通150円)

複数人で申述する場合と、次の順位への影響

同じ被相続人について複数の相続人が申述する場合、重複する戸籍は1通で足りる取り扱いがあります。同時に申述するのか、先に誰かが申述済みなのかで扱いが変わるため、申述先の家庭裁判所へ確認してください。

相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったものとして扱われるため、相続権が次の順位へ移ります。子が全員放棄すれば父母へ、父母もいなければ兄弟姉妹へ移り、その人たちにも新たに3か月の熟慮期間が発生します。借金を理由に放棄する場合は、次順位になる親族へ早めに連絡しておかないと、事情を知らないまま期限を過ぎてしまうことがあります。

この連絡は法律上の義務ではありませんが、実務上のトラブルを避けるために重要です。誰が次順位になるかは戸籍で確認してください。

よくある質問

Q戸籍謄本が全部そろわないと申述できませんか?開く

裁判所は、申述前に入手できない戸籍等は申述後に追加提出して差し支えない場合があると案内しています。3か月の期限が近いときは書類の完成を待たず、申述先の家庭裁判所へ連絡して提出方法を確認してください。

Q相続放棄の費用はいくらかかりますか?開く

家庭裁判所へ納める費用は、申述人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です。これに戸籍等の取得費用が加わり、続柄によって数百円から数千円程度の幅があります。郵便切手の額は裁判所ごとに異なります。

Q兄弟姉妹が相続放棄する場合、戸籍は何通くらい必要ですか?開く

被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になるため、転籍や婚姻、法改正の回数によっては5通から10通程度になることがあります。加えて被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍も必要です。通数は個別の事情によって変わります。

Q戸籍の広域交付を使えば、兄弟姉妹でも最寄りの窓口で戸籍を取れますか?開く

取れません。広域交付を請求できるのは戸籍の本人、配偶者、直系尊属、直系卑属に限られ、兄弟姉妹や甥姪は対象外です。従来どおり本籍地の市区町村へ請求することになります。

Q相続放棄申述書はどこで手に入りますか?開く

裁判所のサイトから書式と記載例をダウンロードできます。成人用と未成年者用で書式が分かれているため、申述人に合ったものを使ってください。家庭裁判所の窓口でも受け取れます。

Q申述先は自分の住所地の家庭裁判所ではないのですか?開く

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が申述先です。申述人の住所地ではありません。遠方の場合の郵送での申述の可否は、申述先の家庭裁判所へ確認してください。

Q相続放棄申述受理通知書をなくした場合はどうなりますか?開く

通知書は再発行されません。相続放棄したことを証明する必要がある場合は、家庭裁判所へ相続放棄申述受理証明書を申請します。手数料は1通150円で、収入印紙で納めます。

Q相続放棄をすると、次に相続人になるのは誰ですか?開く

子が全員放棄すれば父母などの直系尊属へ、直系尊属もいなければ兄弟姉妹へ相続権が移ります。移った人にも新たに3か月の熟慮期間が生じるため、借金を理由に放棄する場合は次順位になる親族へ早めに連絡しておくとトラブルを避けられます。

本ページは一般的な手続きの目安です。相続関係、財産内容、国外居住、事業、遺言、争いの有無などによって、必要な手続きは変わります。判断に迷う場合は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に確認してください。